AGA(エージーエー)とは、Androgenetic Alopecia(アンドロジェニック アロペシア)の略で、男性型脱毛症のことを言います。
脱毛症とありますが成人男性によく見られる薄毛のことを指し、全国で1,260万人の成人男性がAGAだと言われています。
日本の人口が1億2,600万人と考えると約10分の1ですが、20歳~69歳の成人男性4,200万人で考えると、約3.3人に1人がAGAだということがわかります。
このAGAは、思春期以降に頭頂部や前頭部(額の生え際)のどちらか一方、もしくは双方から薄くなっていき、一般的に男性ホルモンや遺伝の影響が主な原因だと考えられています。
また、AGAは進行性であり、何も対策をせずに放っておくと、髪の毛はみるみる減り続け、地肌の露出が際立つようになってきます。
病気と同じで、症状が重くなってからでは手遅れになってしまう可能性もあるため、早めの治療やケアが必要です。
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AGAの仕組み
髪の毛には、一本一本に寿命があります。伸びては抜け、そしてまた新しい毛に生え変わり、これをヘアサイクルと呼びます。
この髪の毛は、頭皮の内側にある毛包(毛母細胞)という場所で作られているのですが、毛包は成長期、退行期、休止期のいずれかの状態にあり、この3つの段階を繰り返しています。
このうち成長期が一番長く、正常なヘアサイクルであれば通常2~6年もの成長期が続くのですが、AGAの人はこの成長期が短いため、髪の毛が十分に育つ前に抜け落ちてしまい、薄毛が進行してしまうのです。
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AGAの原因
では、なぜAGAの人は成長期が短くなるのか。
それはテストステロンという男性ホルモンが間接的な原因だと考えられています。
テストステロンは、分泌されたときは髪に悪さはしないのですが、これが血流にのって毛根近くにたどり着いたとき、皮脂腺から分泌される酵素(5α-リダクターゼ)の影響により、ジヒドロテストステロン(DHT)というより強力な男性ホルモンに変わってしまいます。
このDHTは、通常2~6年ある髪の成長期を数ヶ月~1年に短くしてしまう物質で、正常なヘアサイクルを乱してしまう力があるのです。
そのため、髪の毛が長く太く育つ前に抜け落ち、全体的に薄毛が目立ってしまうという現象に陥るのです。
AGAの症状
AGAの症状ですが、発症すると髪の毛のハリやコシが失われ、産毛のような頼りない毛に変わっていきます。
その後じわじわと髪の毛が抜け落ちていき、頭皮が目立つようになります。
前頭部の髪の生え際がM字型になったり、頭頂部がO型に薄くなったりなど、地肌の見える範囲が徐々に広がっていくのです。
ちなみに、側頭部や後頭部がハゲない理由は、テストステロンが「ジヒドロテストステロン」に変換される要因の酵素(5α-リダクターゼ)が、側頭部や後頭部にはほとんど存在しないためだと言われています。
そしてこのジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けやすいかどうかは、遺伝の影響が大きいと考えられているのです。
AGAの治療法
このAGAは進行性の脱毛症であるため、自然治癒することはありません。
しかしながら、病院やクリニックで処方された治療薬を利用することで、多くの方に改善傾向が見られています。
AGAは、この治療薬が最も効果的な治療法と言えるでしょう。
治療薬は主に飲むタイプと頭皮につけるタイプがあり、飲むタイプにはフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)、頭皮につけるタイプにはミノキシジル(リアップ)や塩化カルプロニウム(フロジン液)があります。
それぞれの効果は下記の通りです。
フィナステリド(商品名:プロペシア)
飲み薬であるフィナステリド(成分)は、薄毛の原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制し、正常な発毛サイクルを取り戻す薬です。そしてこのフィナステリドを製品化して認められたのがプロペシアです。プロペシアは、既に世界60ヵ国以上で承認、販売されています。
デュタステリド(商品名:ザガーロ)
飲み薬であるデュタステリド(成分)は、フィナステリドでは防ぐことができなかった5α還元酵素1型を抑制することができる薬です。実は、男性ホルモンのテストステロンをDHTに変換する酵素には1型と2型があり、前述したフィナステリドは2型しか抑制することができません。しかし近年、1型も2型も両方を抑制することができるデュタステリドという成分が開発され、それが製品化として認められたのがザガーロという治療薬になります。2016年6月に発売されました。
出典:https://aga.plus/articles/101
上記の飲み薬が抜け毛を予防する治療薬(ヘアサイクルを正常に戻す治療薬)に対して、頭皮につけるタイプの薬は血流を増やすことで育毛を促進させる効果があります。
ミノキシジル(商品名:リアップ)
外用薬のミノキシジルは、頭皮につけることで血管拡張作用や皮膚の線維化抑制効果を得ることができる薬です。第一類医薬品であり、安全性に関して薬剤師の説明を受けることで薬局でも購入することが可能です。
塩化カルプロニウム(フロジン液)
外用薬の塩化カルプロニウムは、ミノキシジル同様、頭皮につけることで血管を拡張して血流を良くする作用があります。機能が低下している毛根が活発になり、発毛促進に繋がります。製品化されているフロジン液は、医師の処方箋が必要となる薬です。
各治療薬の効果
これまでに内用薬(フィナステリド・デュタステリド)と外用薬(ミノキシジル・塩化カルプロニウム)を紹介しましたが、内服薬で抜け毛の進行を防ぎ、外用薬で発毛の促進をさせることが、最も効果的な治療方法です。
単体でも効果は得られますが、それぞれAGAに働きかける効果が異なりますので、併用して治療に励むことをおすすめします。
中でも、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルは、日本皮膚学会が発表した男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでA判定(強く勧める)の評価を受けています。
ガイドラインを一部抜粋したものがこちらになります。
フィナステリドの内服は有用か?
男性型脱毛症にはフィナステリドの内服を行うよう強く勧める。一方、女性型脱毛症には行うべきではない。
男性型脱毛症…A判定(行うよう強く勧める)
女性型脱毛症…D判定(行うべきではない)
デュタステリドの内服は有用か?
男性型脱毛症にはデュタステリドの内服を行うよう強く勧める。一方、女性型脱毛症には行うべきではない。
男性型脱毛症…A判定(行うよう強く勧める)
女性型脱毛症…D判定(行うべきではない)
ミノキシジルの外用は有用か?
ミノキシジルの外用を行うよう強く勧める。
男性型脱毛症…A判定(行うよう強く勧める)
女性型脱毛症…A判定(行うよう強く勧める)
ミノキシジルの内服は有用か?
ミノキシジルの内服は行うべきではない。
男性型脱毛症…D判定(行うべきではない)
女性型脱毛症…D判定(行うべきではない)
カルプロニウムの外用は有用か?
カルプロニウム塩化物の外用を行ってもよい。
男性型脱毛症…C判定(行ってもよい)
女性型脱毛症…C判定(行ってもよい)
参考文献:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン
AGA治療薬のリスクと副作用
AGAの治療薬を利用するにあたり、リスクや副作用はしっかり理解しておかなければなりません。
上記でもお伝えしましたが、フィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)は、男性にのみ推奨されている治療薬のため、女性には適しておりません。
特に、妊娠中の女性が服用してしまうと、男子胎児の生殖器官などの発育に影響を及ぼす危険性があります。
ここでは、男性が利用するにあたってのリスクや副作用をご説明します。
フィナステリド(プロペシア)の副作用
どんな薬にもリスク、副作用が付きものですが、フィナステリドには肝機能障害、勃起機能不全、射精障害、精液量減少といったリスクがあります。
デュタステリド(ザガーロ)の副作用
こちらもフィナステリド同様、肝機能障害、勃起機能不全、射精障害、精液量減少といったリスクがあります。
ミノキシジル(リアップ)の副作用
ミノキシジル(リアップ)は、薬剤師の指導のもと、薬局で購入できる第一類医薬品のため比較的安全ではありますが、もちろんリスクや副作用は存在します。ミノキシジルは、頭皮の発疹、かゆみ、かぶれ、頭痛、めまいといったリスクがあります。
塩化カルプロニウム(フロジン液)の副作用
外用薬である塩化カルプロニウム(フロジン液)は、局所発汗、熱感、そう痒感、一過性発赤といったリスクがあります。
詳しいリスクや副作用については、AGA治療を行っている病院やクリニックで説明してもらえますので、まずはお近くの医療機関で相談してみましょう。